探し物夜空に輝く星を見てほうっと長いため息をついた どこを探しても見つからない ふと思いついてあの山へ登ってみる 毎日通ったこの山なら 見つけだせる気がした 一気に山をかけのぼる 木々の間から見える街の風景を見て再びため息をつく ここにも無かった 探し物どころかあの日見た風景すらここにはない 現在に過去は存在しない そんなことは分かっている それでも僕はあきらめきれずに いくつもの場所を走り回った どの場所でも探し物は見つからなかった すべての場所はあの日見た景色と違っていた どの場所に行ってもあの日の思い出が 次から次へとあふれ出て それはついに僕の目からこぼれでた 悲しみに暮れながらとぼとぼ家路を歩いた ふと前を見ると 涙でにじんだその世界 あの日見た景色そのものだった そのとき気づいた 探し物はもうここにはないんだ でも、あの日の記憶 そして今日の記憶は ずっと自分の胸でとっておこう そうすればきっと・・・ 涙でにじんだ星を見た 少年はついにその一歩を踏み出した 詩の解説 この詩は探し物が見つからない少年の事を思って書いた詩です。ここで言う探し物とは自分の過去・・・どんなに探しても見つからず星を見てため息をつく・・・過去の自分が何度も通った山に行けば過去に出会えるかもと思い急いできてみたがそこにあるのはほかの何者でもない現在昔自分が見た街の風景とは全く変わってしまった街の風景 少年も過去に出会えないのは分かっているのだが少年はどうしてもあきらめきれない 認めたくないから走り回った そのすべてからあの日の思い出を感じることはできるが過去はそこにないついに少年の心は折れた 分かっていたことでも涙が止まらない しかしふと前を見るとそこは涙でぐちゃぐちゃ過去に見た風景そのものだった 過去の自分が泣いて帰ったとき同じ風景を見ていたのだったそのとき少年はすべてを悟った やっぱりここには現在しかなく過去はどこにもない けれど思い出として自分で持っておこうそれが過去をおいておくことにもなるのだから・・・そして少年はまた星を見た 今は涙でにじんでいるけれどさっきまで踏み出せなかった一歩をついに少年は踏み出したのだった という思いを込めて書きました! |